「会社が嫌」で「辞めたい」と思っているのに、なかなか辞められない人が多くいます。
なぜ多くの人が仕事を辛いと感じながらも辞めることができないのか、この記事ではその理由と根底にある考え方について深掘りしていきます。
また、本当に会社を辞めた方がいい危険な状況や、いざという時の対処法についてもご紹介しています。
この記事を読んだ方が、今の状況を乗り越えて、よい良い方向に進む一助になると幸いです。
日本の転職経験率は約6割
日本人の転職経験率が約6割であると聞いて、高いと感じるか低いと感じるかは人によって異なるかもしれません。
しかし、この水準は他の先進国と比較すると圧倒的に低いのが実情です。
求人検索サイトを運営するIndeed Japan株式会社が2023年に日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・韓国の就業者を対象に実施した調査によると、日本人の転職経験率は59.7%で他の4カ国より圧倒的に低いことが明らかになっています。
最も高かったのはイギリスで、なんと92.7%。次いでアメリカが90.1%、ドイツは84.2%、そして韓国は75.8%という結果でした。
国名 | 転職経験率 |
---|---|
イギリス | 92.7% |
アメリカ | 90.1% |
ドイツ | 84.2% |
韓国 | 70.2% |
日本 | 59.7% |
この結果を見ると、日本人は一度就職した会社を辞めて別の仕事に就くという選択をあまり好まない民族のように見えます。
日本人の「愛社精神」は世界最低クラス
「日本人は転職をしない」と聞くと、それはきっと日本人独特の忠誠心や愛社精神によるものだろうと考える人がいるかもしれません。
会社は家族だ、会社に尽くすことが社会人としての誉れであり、仕事が一番大事だ、というような世界観です。
しかし、前述したIndeedの調査結果によると、全く正反対の興味深いデータが見て取れます。
国名 | 仕事よりも プライベートが優先 | 仕事はお金を稼ぐ ための手段である |
---|---|---|
日本 | 76.2% | 74.6% |
イギリス | 70.9% | 64.8% |
ドイツ | 69.3% | 63.3% |
アメリカ | 65.9% | 58.1% |
韓国 | 49.3% | 58.5% |
なんと、「仕事よりもプライベートが優先」「仕事はお金を稼ぐための手段である」と回答した人の割合は、どちらも日本人が約75%にも達して他の4カ国より圧倒的に多いのです。
さらに別のデータも見てみましょう。
アメリカの世論調査会社Gallup社が実施した「State of the Global Workplace2021」という調査によると、日本企業の従業員で士気・熱意がある者の割合はわずか5%と、世界的にみて最低水準であることが判明しています。
国名 | 士気・熱意のある従業員 |
---|---|
アメリカ/カナダ | 34% |
ラテンアメリカ | 24% |
東南アジア | 23% |
アフリカ | 16% |
西ヨーロッパ | 11% |
日本 | 5% |
世界平均 | 20% |
これらの情報を総合すると、どうやら日本人は…
「世界有数レベルで会社が嫌い(好きではない)なのに、なぜか転職はしたがらない民族」
ということができそうです。
自分たちのことながら、なんとも不思議な人々に見えますね。
それでも会社を辞められない理由とは
さて、「会社が嫌い」だと感じているにも関わらず、会社を辞められないのは何故でしょうか。
主な理由として、次のようなものが挙げられます。
周囲の評価や反応が怖い
会社を辞めたいと思った際に、会社を辞めることによる周囲の評価や反応を気にする人が多くいます。
「職場の同僚に迷惑がかかり、嫌われてしまうのではないか」
「家族や両親などが自分に対して失望してしまうのではないか」
「友人にバカにされるのではないか」
このように考えて、怖くて一歩を踏み出せないというような心境に陥りやすいのです。
辛くても我慢をしなければもっと辛いことが起こると考えてしまうのです。
しかし本当にそうでしょうか?
先述したように、日本人の大半が本音では会社をそれほど大事に思っていないのです。
もしあなたが本当に今の会社にいることで辛い思いをしているなら、それを家族や友人に伝えて失望したりバカにしたりするでしょうか?
もちろん、あなたが退職することを迷惑がる同僚や上司はいるかもしれません。
しかし、そのような相手がいたとして、それは本当にあなたにとって必要な人間関係でしょうか。
あなたの人生なのですから、あなたに必要なものをあなた自身が取捨選択して良いのです。
上司に退職を伝えるのが怖い
上司に退職を伝えるのが怖いという方も少なくありません。
そもそも、会社を辞めたいほど嫌なのですから、上司との関係がうまくいっていないケースも多いことでしょう。
また、仮に上司との関係が良かったとしても、尊敬しているからこそ迷惑をかけたくないと感じる人もいるかもしれません。
しかし、そこはビジネスの場だと割り切ることも大切です。
あなたも、上司も、プライベートの好き嫌いで一緒に働いているわけではありません。
どちらも会社との雇用関係に基づいて仕事をしているのであって、退職の意向を受け付けることも上司の仕事です。
本来あなたがすべきことは、感情的にならず、淡々と正確に、退職の意向を示すことだけなのです。
転職などの環境の変化が不安
良い転職先を見つけられるか分からないという点も大きな不安要素です。
たとえ内定がとれたとしても、今の職場よりも良い環境であるかどうかは実際に入社してみないとわかりません。
勇気を振り絞った行動をしても、今より状況が悪くなるかもしれないという不安が、行動を鈍らせてしまうというケースも少なくないでしょう。
この点については、やってみなければ誰にもわかりません。
しかし、現状が辛くてたまらないと感じているなら、試してみる価値はあるかもしれません。
どうしても不安な場合は、広く社会に目を向けてみることをおすすめします。
何の接点もないような街角で見かけた人や、インターネットやSNSなどのメディアにいる人なども観察してみましょう。
全員があなたのように辛い思いをしながら生きているように見えるでしょうか。
意外と世の中、もう少し楽に生きられるんじゃないかという気がしてきませんか。
経済的に不安がある
毎月一定の給料収入があることは大きな安心材料です。
たとえ今の会社に限界を感じていたとしても、それを手放すのは大きな不安が伴うことでしょう。
実際に資本主義経済において生活していくにはお金は必要不可欠な存在です。
とはいえ、いざという時にはセーフティーネットは整備されていますし、仕事も探せばいくらでもあります。
固定観念や先入観で、自分の人生の幅を狭めていませんか?
あなたが本当に望んでいる生き方と、いまの働き方は合っていますか?
経済的な不安は、貯蓄などの備えをすることで和らげることができます。この理由で思考停止に陥るのは、もったいないのではないでしょうか。
「得るは、捨つるにあり」という格言
「得るは、捨つるにあり」という格言をご存じでしょうか。
日本を代表する靴職人の山口千尋さんという方の言葉です。
大手靴メーカーの社員だった山口さんが、靴職人としての技量を高めるために会社を辞めてイギリスへ修行に行こうと決意した際、頭に浮かんだ言葉だと言われています。
何かを捨てる覚悟がなければ、本当に得たいものは得られないという決意で臨んだ修行が実を結び、今では日本を代表する靴職人として世界にその名を知られる人となりました。
また最近では、世界的な人気アニメ「進撃の巨人」の中でも似たセリフが登場していますので、こちらを知っている人も多いかもしれません。
「何も捨てることができない人には、何も変えることができないだろう。」
状況を大きく変えたいのであれば、現状にしがみついたままでは無理であるということを物語るセリフとなっています。
もしあなたが、今の会社が辛くてどうしても状況を変えたいのであれば、その会社での立場を捨てる覚悟が必要かもしれません。
すぐに会社を辞めた方がいい3つの状況
「会社が嫌い」だからといって、必ずしも会社を辞めなければいけないわけではありません。
しかし、もしあなたが次の3つの状況に陥っているとしたら、注意が必要です。
会社にいるのが苦痛で家を出たくない
会社にいることが苦痛で、毎朝家から出るのがつらいと感じる場合、それはすでに心身の健康に悪影響が及んでいる危険信号である可能性があります。
仕事がストレスや不安を引き起こし、それが日常生活にまで影響を及ぼしている場合は、早めの対処が必要です。
このような状況では、会社を辞めて一度リセットすることで心身の健康を取り戻すための時間と空間を確保することを検討した方が良いでしょう。
健康的な生活リズムから逸脱した状態が長く続いている
仕事のストレスや過重な業務負荷・長時間労働などが原因で健康的な生活リズムが崩れ、継続的に睡眠不足や栄養不足などの状態が長く続いている場合、心身に深刻な問題を及ぼす可能性があります。
健康は何よりも大切な資産であり、健康を損なっては満足に働くこともできなくなっていまいます。
そもそも、幸せに生きるために働くのであって、働くために生きているわけではないという原点に立ち返って、いまの状況を冷静に考えてみる必要があります。
辞めたい気持ちが1年以上続き、うつ病状態
仕事に対するモチベーションが低下し、辞めたい気持ちが1年以上続いている場合、うつ病などの精神的な状態に陥っている可能性も否定できません。
うつ病は深刻な精神疾患であり、その症状には意欲の低下、無気力感、集中力の低下、睡眠障害などがあります。
もしこのような状態に陥っているのだとしたら、一度立ち止まって、自分自身の健康を優先することも考えるべきでしょう。
幸せに生きるために働くのであって、働くために生きているわけではないという原点に立ち返って、いまの状況を冷静に考えてみる必要があります。
辞める力すらない状態は赤信号。人の力を借りるべき
冷静に考えれば会社を辞めた方がいいと思っているのに、その気力すら湧かないという状態は、既に危険領域に達している危険性があります。
そのような場合は、無理をせず第三者の力を借りることも検討してみましょう。
心理カウンセリングを受けてみる
心理カウンセリングとは、臨床心理士や精神保健福祉士、メンタルヘルスカウンセラーなどの専門家にあなたの悩みを苦しみを相談することで、適切な助言やサポートをしてもらうことです。
第三者に心の内を打ち明けてアドバイスを貰うことで、精神的なストレスを緩和することが期待できます。
気持ちを整理することで、辛さや苦しさによって冷静な判断ができなくなっている状態を解消し、次の新しいステップに進むきっかけを掴めるかもしれません。
なお、オンラインカウンセリングのメザニンのように、オンラインで365日いつでも有資格のカウンセラーに相談することができるサービスもあります。
メンタルクリニックに受診する
自分の状態が明らかに正常ではない、以前と比べて病的な何かを感じるという場合は、最初からメンタルクリニックに受診する方が早い場合もあります。
医師が治療の要否を判断し、あなたにとって必要な対応を迅速にとってくれることが期待できます。
初めて通院する場合は抵抗感を感じる人も少なくありませんが、自分の状態を冷静に客観視するためにも、一度受診を検討してみてはいかがでしょうか。
会社の環境が原因でうつ病などの精神疾患を発症しているなど、医師によって治療が必要と判断された場合は、医学的な治療などを受けることもできますし、必要に応じて休職の診断書を発行してもらえる場合もあるでしょう。
厚生労働省のポータルサイトでは、全国の医療機関を簡単に検索できます。
退職代行サービスを利用する
自分の状態が悪いのではなく、会社の環境が悪いから辞めたいのだけれども、退職の手続きを行うのが怖いという方もいることでしょう。
退職は辞める意向を伝えることで手続きが始まりますが、全ての手続きが完了するまでには数多くのステップが存在することが一般的です。
つまり、退職手続は一日や二日では終わらないのです。
しかし、もしあなたが会社が嫌でたまらないというほど関係が悪化している場合、長い期間をかけて、出勤を続けながらこの手続きを終えるのは辛いというケースも少なくありません。
そのような場合は、退職代行サービスを利用するという手段があります。
退職は労働契約を正式に解消させる法律行為ですから、必要に応じて専門家の代行を依頼することは何もおかしいことではありません。
特に、弁護士や労働組合などが運営する退職代行サービスであれば、より確実かつ円滑に退職手続きを終えることができることでしょう。
なお法律上、労働者の代理として交渉できるのは弁護士(弁護士法72条)と労働組合(労働組合法6条)のみとなっています。
一般企業が運営している退職サービスは、代理交渉まではしてくれないので注意しましょう。
東京都労働委員会認証の合同労働組合「退職代行ガーディアン」であれば、弁護士よりも低費用で退職交渉を任せることができます。
生きる手段は星の数ほどあるという事実に目を向けよう
いま勤めている会社を辞めたら、自分には何も残らないと感じてしまう人もいるかもしれません。
しかし、実際にはそんなことはありません。
日本には1億人以上の人が暮らしていて、それぞれがさまざまな方法で生活の糧を得ています。生きる手段は、星の数ほどたくさんあるのです。
ここでは、会社を辞める場合の次のステップについて見ていきましょう。
別の会社に転職してみる
現在の会社が合わない場合、別の会社に転職することは新たなスタートを切るのも一つの手段です。
新しい人間関係や、新しい環境下で仕事をすることによって、これまでに抱えていた問題が解消されて、生き生きと日々を過ごせるようになるかもしれません。
また、異なる企業文化や価値観に触れることで、自分自身の視野を広げ、スキルや経験をさらに磨く機会にもなることでしょう。
自分で起業してみる
会社に雇われて上司の指示に従うことがだけが仕事ではありません。
自分でビジネスを立ち上げて、自分自身の力で収入を得ていくことができれば、煩わしい上司との人間関係に悩む必要はなくなります。
もちろん、独立してビジネスを運営すると、会社員の頃にはなかった苦労も経験することになるでしょう。起業にはリスクも伴いますので、事前の計画と準備が不可欠です。
それでも、環境を変えて人生をリセットする上で、起業は大きな転機となる可能性を秘めています。
副業から始めてみる
本業で安定した収入源を確保しながら、副業を始めることで新たなスキルを習得したり、趣味を生かして収益を得ることができます。
副業はリスクを最小限に抑えながら新しいことに挑戦するための手段としても活用できます。
会社を辞めた後の準備として、あらかじめ副業を始めておくことはリスクを軽減する上で非常に有効な手段といえるでしょう。
職業訓練校に通ってみる
自身のスキルアップや転職を目指す場合、職業訓練校に通うという選択肢もあります。
職業訓練校は無料で授業を受けられるほか、失業手当の受給期間が訓練期間の終了まで延長されるため、お金を貰いながら新たな専門知識やスキルを身に付けることができます。
長期間にわたって集中して訓練する機会は貴重なため、人生において大きな転機となることでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
この記事では以下のことを中心にご紹介してきました。
たった一度の人生ですから、自分にとって最も幸せな道を歩んで行くのが一番です。
貴方にとっての幸せは貴方にしか決められないということを、忘れないでください。
この記事を読んだ方が、今の状況を乗り越えて、よい良い方向に進む一助になると幸いです。
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